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継続率が高いSaaSの選び方|失敗しない比較ポイント

継続率が高いSaaSを選ぶには、契約条件・サポート体制・公表されている継続率の裏付けの3点を見る。機能比較だけでは、乗り換えづらさで数字が高く見えている製品を見抜けない。

30秒でわかる結論

継続率の高さは機能ではなく契約条件とサポート体制で決まる

契約の柔軟性、導入後のサポート体制、公表数値の算出根拠。この3点を比較すれば、
見せかけの継続率と本物の継続率を見分けられる。

契約前に、自動更新条件と解約通知の必要期間を営業担当に確認することから始めるといい。

目次

継続率が高いSaaSとは?選ぶ際になぜ重視すべきか

継続率とは契約が更新され続ける割合のことで、機能の良し悪しより契約・移行・サポートの設計で決まる指標

継続率は「使いやすさ」を示す数字ではない。「乗り換えにくさ」や「サポートの手厚さ」を
示す数字だと考えたほうが実態に近い。SaaSは初期費用が低く、他社製品への切り替え自体は
技術的に難しくないことが多い。にもかかわらず継続率が高い製品があるのは、機能で
勝っているというより、契約や移行の手間、サポート対応の設計によって顧客を
つなぎ止めているからだ。この設計の巧拙が、比較のしどころになる。

業界平均の目安として、BtoB SaaSの年間継続率は90%台前半とされることが多い(算出方法に
よって差があるため、営業資料の数字がどの条件で出されたものかは別途確認したい)。
90%を切る製品がすべて悪いわけではないが、その場合は解約導線や乗り換えコストの
設計を確認する余地がある。

ただし、業務特化型のニッチなSaaSは導入企業数そのものが少なく、継続率が数値として
安定しないことがある。母数が10社に満たないような製品では、継続率の1〜2%の変動が
たまたま1社の解約で起きている可能性もあるため、率だけを鵜呑みにしないほうがいい。

比較ポイント①:契約期間・料金体系で見るサイン

自動更新条件と解約手数料の有無は、契約前に必ず確認しておく

継続率の高さが、必ずしも顧客満足の結果とは限らない。年間一括契約で日割り返金なし、
という契約設計になっている製品は、途中解約のハードルが高いぶん、数字としての継続率が
高く出やすい。満足して使い続けているのか、解約すると損をするから使い続けているのかは、
契約書を見ないと区別がつかない。

見るべきは、月契約から試して合わなければ解約できる設計になっているか、
それとも年間契約のみで途中解約に違約金が発生するかだ。あわせて、
解約通知が必要な期間(30日前予告が必要なのか、当月中の申請で即解約できるのか)も
見落としやすいポイントだ。この期間が長い製品ほど、実質的な解約のしにくさは高くなる。

会計や人事など、業務基幹に近いSaaSは移行コストがもともと高いため、年間契約が
一般的になっている。これ自体は不自然なことではなく、問題視すべきは「移行コストの
高さに乗じて解約を難しくしているか」どうかだ。

よくある失敗は、初期費用の安さだけを見て契約し、実際には年間契約の縛りに後から
気づくパターンだ。小規模導入や試験導入の段階では月契約に対応した製品を優先し、
本格運用の方針が固まってから年間契約への切り替えを検討したほうが、
契約条件で損をしにくい。

比較ポイント②:サポート・オンボーディング体制

導入直後のサポート体制の厚さは、継続率にそのまま直結する

SaaSの解約は、利用開始から1〜3ヶ月程度のオンボーディング初期に集中しやすい。
機能が悪いから解約されるというより、使い方が定着する前に離脱してしまうケースが
多いためだ。この時期のサポート体制が薄い製品は、契約条件がどれだけ良くても
継続率が伸びにくい。

比較する際は、専任の導入担当がつくのか、それともチャット対応のみなのかを確認する。
初期設定を代行してくれるかどうかも、社内にIT担当者が少ない企業ほど差が出やすい
ポイントだ。無料トライアル期間中にオンボーディング支援があるかどうかは、
契約前でも確認できる数少ない実地チェックになる。

一方で、ITリテラシーが高い自社開発チームが使う場合は、手厚い伴走サポートより
柔軟なAPIやドキュメントの充実度を優先したほうがいい場面もある。サポートが
手厚いことが、そのままどんな組織にとっても「良い製品」を意味するわけではない。

「サポートが手厚い製品を選べばいいのか」という疑問が出やすいが、答えは自社の
運用体制次第で変わる。専任担当がいない組織ほどベンダー側のサポートに依存する
必要があり、逆に社内に運用チームがある組織では過剰なサポートは不要になる。
この判断基準は後述する。

比較ポイント③:公表されている継続率の読み方

営業資料の継続率は、算出方法を確認しないと他社と比較できない

「継続率98%」という数字だけを見て安心するのは早い。継続率には「顧客数ベース」の
数え方と「収益ベース(NRR)」の数え方があり、同じ実態でも算出方法によって
見え方が変わる。アップセルが多い製品は収益ベースの継続率が100%を超えて
良く見えることがあるが、その裏で一定数の顧客が実際には解約している場合もある。

確認すべきは、営業資料の継続率が「顧客ベースか収益ベースか」「直近12ヶ月か
契約開始からの全期間平均か」だ。担当者にその場で質問して即答できず、
算出条件を明かさない、あるいは資料の数字を更新していないベンダーは、
数字の裏付けが弱い可能性がある。

立ち上げ間もないSaaSは導入企業数自体が少なく、継続率という形で数字を
開示できないことがある。この場合は無理に数字を求めるのではなく、既存の
導入企業に直接話を聞く、あるいは事例インタビューの数と内容で判断材料を
補うほうが現実的だ。

よくある失敗は、営業資料に載っている継続率の数字だけを比較材料にして、
算出条件を確認しないまま契約を決めてしまうことだ。数字そのものより、
その数字を出す姿勢(条件を明かせるかどうか)のほうが、実は比較材料として
信頼できる。

失敗しない選び方の判断基準

契約の柔軟性・サポート体制・数値の開示姿勢の3点がそろっていれば、継続率の高さは信頼できる

ここまでの3つの比較ポイントは、それぞれ独立した項目というより「顧客が離れる理由を
先回りして潰しているかどうか」を別の角度から見ているに過ぎない。契約が柔軟で、
オンボーディングが手厚く、数字の根拠を明かせるベンダーは、顧客が離れにくい状態を
意図的に設計している。この3点が曖昧なまま継続率だけを訴求している製品は、
解約しづらさで数字を作っている可能性を疑ったほうがいい。

本物の継続率が高い製品は、月契約や短期解約にも対応できる自信の裏返しとして
柔軟な契約を用意していることが多い。一方、見せかけの継続率は、年間契約と
解約手数料で顧客を縛ることで数字を維持している。

契約前に確認したい項目は次の4つに絞られる。自動更新の条件、解約通知に必要な
期間、オンボーディング支援の有無、継続率の算出根拠を開示してくれるかどうか。
このうち2つ以上をベンダー側が即答できない場合は、契約を急がず、無料トライアル
期間を延長して様子を見たほうがいい。

業界特化型で競合が実質1〜2社しかないような領域では、比較対象そのものが
存在しないため、上記の基準より導入実績の年数や既存顧客数を優先して判断する
ほうが現実的だ。

関連語

比較検討の際に営業資料や導入事例でよく出てくる周辺用語を、ここで簡潔に整理しておく。

  • NRR(Net Revenue Retention):既存顧客からの収益が一定期間でどれだけ維持・拡大したかを示す指標。解約による減少とアップセルによる増加を相殺して算出するため、解約が起きていても100%を超えて見えることがある。営業資料でこの数字を見たら、解約自体は別に確認したほうがいい
  • チャーンレート:解約率のこと。継続率の裏返しにあたる指標で、顧客数ベースと収益ベースの両方で語られる。継続率が高くてもチャーンレートが業界平均より高いなら、解約者の穴をアップセルで埋めているだけの可能性がある
  • LTV(顧客生涯価値):1顧客が契約期間中にもたらす累計収益。継続率が高いほどLTVは伸びやすい指標
  • スイッチングコスト:他社製品へ乗り換える際にかかる手間やコスト。継続率の高さがこのコストの高さだけに支えられていないかは、この記事の比較ポイント①・③と直結する視点になる

「継続率」とだけ書かれている資料は、NRRなのかチャーンレートの裏返しなのかが
分からないことが多く、比較検討中の営業担当にその場で確認しておく価値がある。

まとめ

継続率が高いSaaSを見分けるうえで、機能一覧やレビューサイトの星の数だけを見ても
判断材料としては不十分だ。契約の柔軟性、サポート体制、そして数値の開示姿勢という
3つの軸で比較すると、営業トークだけでは見えない部分が見えてくる。この3点は
契約前に営業担当へ質問しておくと、導入後の認識のズレを減らせる。

1

契約の柔軟性を見る
自動更新条件と解約通知の必要期間を契約前に確認する

2

サポート体制を見る
オンボーディング初期の支援が手厚いかを比較する

3

要点
継続率の算出根拠を即答できるベンダーを選ぶ

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